イチかヒャクか、それが問題だ!
このところバタバタしていてエントリーが遅くなりましたが…26日に開催されたFUJIFILMの「Xシリーズ」体感イベント“X-Night”へ行ってきました。
富士フイルム株式会社が過去のモニター参加者を中心に招待した発表会に参加して書いています。今回のイベントに関してメーカーからの報酬、及びその他の取引関係はありません。
また、事実誤認時の修正と本定型文の掲載以外、メーカーから記事の内容に対する関与は受けていません。
X100ユーザーですから、自分が招待されてもいいよね、ね? w
勿論、お目当てはX-Pro1ですよ。来月早々CP+も開催され、当然そこでも触る事が出来るでしょうが、一日も早く触れてみたいと思うのがマニアというものですからね。
場所は渋谷の SHOTO GALLERY 。
Bunkamuraオーチャードホールの向かいにある、それほど大きくはないものの洒落たイベントスペースです。
日中プレス向けの発表会もここであり、X-Nightと銘打っているだけに夜の部も用意されている…ということで、ちょっと普段の新製品発表会とは違う趣の会場。1階はプロの方々が実際にX-Pro1で撮った作例写真の展示、2階が製品のタッチ&トライコーナー、3階ではDJサウンドが流れるクラブイベントとなっておりました。
今回は昼間の発表会とこの夜の部のすき間時間に、みんぽすさんのモノフェローズイベントがセッティングされて、自分はそこに参加させていただいたというわけ。
残念ながらまだまだファームウェアは煮詰めている最中ということで撮影画像の持ち帰りは無し。ですので今回は画質評価も無しの、以下はあくまでハードウェアとUIの操作性チェックをしたyonhongi個人の感想ということでヨロシクであります。
早速X-Pro1とご対面〜。
装着レンズは XF18mm F2 R
左が XF60mm F2.4 R MACRO
右が XF35mm F1.4 R
Xシリーズ待望のミラーレス(とはあまりメーカーさん側は呼んで欲しくないようです…別カテゴリーのプレミアムカメラであると…)は、X100と比べてもひとまわり大柄で、外観イメージとしては完全にレンジファインダーカメラ。銀塩機を知っている自分のような世代には、懐かしくもあり嬉しくもあり。確かにX100もクラシカルなデザインではあったのですが、X-Pro1はそのサイズ感もあってかなり立派にカメラカメラした存在になったなぁというのが第一印象。
同時に用意されたレンズが全て単焦点なことや、そのうちのXF18mmレンズがパンケーキというほど薄さを追求したものではないことなどからも、従来の小型軽量を信条とするミラーレス機とは一線を画すコンセプトで造られたことが感じ取れます。
かつてのフジカXマウントを彷彿とさせる新規に興されたXマウントもそのひとつ。フランジバックこそ17.7mmと極端に短く、またレンズ後玉がさらに数mmボディ側に潜り込む設計というのがちょっと珍しいものの、軽量化の為に安易に樹脂化したりせずレンズ側にも金属製マウントを採用してある点などに、その本気度が垣間見えます。
ボディ/レンズともに“MADE IN JAPAN”なのも、やはり嬉しいですねぇ。
勿論、機械式カップリングの無い全電子式マウントですので、絞りもピントもレンズ内モーター駆動なのですが、鏡筒も金属で絞り環を備えたデザインは奇をてらう事なく、全てにおいてオールドスタイルに徹しています。
そういえばマニュアルフォーカスも格段にし易くなっていましたねぇ。ピントリング回した時の追従性が随分リニアかつスピーディーになっていました。これならMF使う気になりますw
対してAFは正直なところ相変わらず可もなく不可もない感じ。特に気になったのがXF60mmマクロ装着時の近距離撮影時、フォーカス域の行ったり来たりが結構頻繁で時間がかかったところ…これはまるで初期の一眼ライブビュー撮影でのコントラストAFのようで、まだまだファームウェアが固まっていない状態とはいえ若干の不安要素でもあります。
この点は製品版で要確認ですね。
さて見た目は武骨な印象すら与えるX-Pro1ですが、手に取ってみると若干印象が変わります。
標準レンズであるXF35mmF1.4を装着して持ち上げた瞬間、正直軽いと感じました。これは自分だけではなくまわりにいた方々もそうだったようで、(実際「X100比で外見がひとまわり大きくなった割には」という条件付きではありますが)想像より軽く感じるのは確かなようです。
カタログ値を見ると X-Pro1ボディ約450g ≒ X100(約445g) なんですね。
ちなみにX-Pro1にはオプションで底面三脚ネジ穴を使って装着するL字ハンドグリップも用意されていて試作品を実際に付けた機体も試させていただいたのですが、これがまたなかなか秀逸な握り心地でして更に軽く感じるというちょっと不思議な感覚でした。標準グリップの上2/3ほどにかぶさる形で付くグリップは若干見た目が??(というかカッコイイとは言えないかも…)なのですが、これは自然と人さし指がリレーズボタンに中指がファインダー切替えレバーへと掛かるようにした結果がこの形なのですね。底面はプレートで覆われてしまうので、バッテリーやSDカードの出し入れ時にイチイチ外さなければならないのが残念ですが、カメラを実用面で評価するならばこのアクセサリーはやっぱり買いだと思います。
気合いの入った新開発は他にも。
肝心要の撮像素子、その名も“X-Trans CMOS”
従来の撮像素子がRGBの三原色フィルターを規則正しく格子状に配列していたが故に、細かい縞状のものを撮影すると発生していたモアレや実際の色とは違う発色をしてしまう偽色といった弊害の発生を緩和する為、光学的には余分な「ローパスフィルター」層が必要であり、近年各社がその排除のためにあの手この手を駆使しているというのはご存知の通り。
画像処理エンジンの高速高性能化でソフトウェア的にそれらを軽減する術が確立されつつある昨今は、ローパスレスの機種も見受けられるようになってきましたが、今回FUJIFILMはフィルムメーカーらしく撮像素子そのものを工夫してきたというのが素晴らしい…いわく、銀塩フィルムにモアレや偽色がないのなら撮像素子もフィルムライクな構造にしてしまえばいいじゃないか、と。
フィルムライクな撮像素子構造といえば真っ先にRGB三層素子のFoveonが思いつきますが、これはこれでまたなかなかクセがあってSIGMAはじめ各社製品化には大変苦労しているというのは周知の事実。
そこで従来2×2の画素を単位として作り出していたピクセルを、9倍の6×6画素を一単位としてそこに意図的に周期性を下げた配列でRGBフィルターを配列することで、従来技術の発展型一層素子のまま、よりシンプルにローパスレスに出来たのがこのX-TransCMOSというわけです。
作例展示コーナーで畳3畳分という超特大サイズに伸ばされたモデルさんの顔写真なんかもありまして、産毛の質感や唇のキメまで再現されたのを見る限り、ローパスレスの解像感は相当なものであると言っていいでしょう・・・これは早く製品版実機での画像を見てみたいですねぇ。
X100でその実用性は十二分に体感している光学式/電子式切替えのハイブリッドビューファインダーは、レンズ交換可能なX-Pro1では2段階変倍機構が内蔵され“マルチ”に更に進化しました。
EVFならば撮像素子のライブビュー画像が表示されるので、レンズ交換してもその画角で表示されるのは至極当然なのですが、光学式ファインダーではそうはいきません。ここで割り切ってOVFは倍率固定にしてしまうことも開発時に検討されたそうですが、やはりここにもこだわりたい、つまらない製品は造りたくないとの想いから出来たのがこのハイブリッドマルチビューファインダーだそうです。
広角18mmレンズ(換算27mm)装着時には0.37倍のファインダーですが、標準35mmレンズ(換算53mm)装着時には自動的にファインダー手前に変倍レンズが挿入されて0.6倍像になるというギミックは、実際の動きを見ていただいた方が理解しやすそうなので、簡単な動画を撮ってきました。
ちなみに35mmレンズより焦点距離の長い60mmレンズ(換算91mm)装着時には上の写真にあるようにファインダーは0.6倍像のまま、スーパーインポーズされるブライトフレームが縮小します。これは今後出てくるであろう他の焦点距離のレンズやズームレンズでも無段階にこの方法で表示されるそうです。
またこの変倍は、前面にあるOVF/EVF切替えレバーを2秒引く事での任意操作も可能でした。
このギミックのためだけでも、X-Pro1を買う意味はある、かもw
ただちょっと残念だったのは、これだけ拘ったファインダーなのに何故かX100にはあった視度調整機構がX-Pro1では内蔵されず、視度調整対眼レンズの交換で対応になるとのこと。
目の悪い人ならわかるかと思うのですが、視力って朝晩や体調によって結構微妙に変化するんですよね〜。だからこそファインダーに視度調整機構は必須だと思うのですが。。。
変倍機構の搭載でスペース的に厳しかったのかもしれませんが、ここはたとえアイカップが多少大きくなってしまったとしても妥協して欲しくなかったポイントですなぁ。
操作性がX100に比べて大きく改善されたのは、背面を見ると一目瞭然。
使いにくかった十字キー兼背面ダイヤルは廃止され、ひとまわり大きく押しやすいシンプルな十字キーと決定/MENUボタンになりましたし、いまいち使いどころが少なかった親指部のレバーもコマンドダイヤルになって格段に使い勝手が良くなっています。
また細かい部分ですが従来「撮影」と「設定」のふたつだけのタブで階層が深かったメニュー構成も、タブの細分化で随分選びやすくなっていましたよ。これは是非X100でもファームアップで取り入れてほしいところw
新設された“Q”ボタンを押す事で、背面液晶には設定値が整然と一覧表示されるクイックメニューも加わって、これがまたOLYMPUSのEシリーズで使い慣れたスーパーコンパネ同様シンプルだけど使える機能であることは一発でわかりました。
背面液晶自体も2.8インチRGB46万ドットから3.0インチRGBW123万ドットへとグレードアップしていて、まさに正常進化。
他にもレンズ根元の絞りリングが1/3EVステップになって更には1絞り単位でクリック感が変わっていたり、シャッタースピードダイヤルにロックが付いて文字が大き目の浮き文字でクッキリしたり、背が高くなった分は露出補正ダイヤルがボディにめり込む形にして親指リーチ範囲に留めてあったりと、X100ユーザーだからこそ合点がいく改善点が随所に見られました。
そんな良い事づくめのX-Pro1、じゃあ自分は買うの? と訊かれたら…実はイベントから一週間ほど経つのに未だ決めかねています(爆)
こんな経験、なかなかないんだからね(更爆)
というのもX-Pro1は、実用機として間違いなく格段に進化していることが判った分、逆にカメラを嗜好品として見た場合のX100の出来の良さにも改めて気が付いてしまったから。
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そう、同時に発表されたX100 BLACK Limited Edition の存在ががが。
ブラックボディのX100を目の当たりにしてしまったら、なんというか精巧さというか凝縮感が薄らいでしまったように感じなくもないんですよねぇ>X-Pro1
それに全世界限定10000台で、既にそのうち相当数が売約済みと聞いてしまっては心穏やかでいられる筈がありましょうか、いやない(反語表現)。
とりあえずCP+まで迷うことにします。。。
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