« SとP(クラウドの)野望編 | トップページ | 人の造りしもの : P »

2011年10月27日 (木)

SのP(タブレットの)革命前日編

さて、みんぽすさん主催の「Sony Tablet モノフェローズイベント」後編です。
前編は本田雅一さんによる、クラウドとクラウド時代のソニーの挑戦といった内容でしたが、後半はソニーのなかのひとたちにその具体的内容を説明していただきました。
Slide11 Slide12
ほぼ時を同じくしてソニーストアで開催された開発者トークショーがハードウェア主体の会だったのに対し、こちらはどちらかというとこれから本格的に始まる各種クラウドサービスとの連携や家庭内メディアハブとしてのソニータブレットの役割、それにともなう「快適な操作環境」を得る上でどのような工夫や苦労があったか…などなどが語られました。
その意気込みは「Sony Tablet」というネーミング自体にも現れていて、普通なら製品ごとにペットネームをつけるところをあえてベタに「ソニー」を表明。これぞソニーといった気持ちの現れなんだそうです。

登壇してくださったのは、以下の5人。

まずは前半にひきつづき司会進行役としてソニーマーケティング マーケティングマネージャーの岩井さん。
2005年からVAIOのtypeU/T/Zシリーズ/Pシリーズ/Xシリーズの国内マーケティングを担当し、今年からはこの Sony Tablet に携わるという、モバイル機器に縁の深い方なんですねぇ。これらの商品群は自分的にどれもこれもスイートスポットで、正直ウラヤマシイw

ソニー VAIO&Mobile事業本部 商品企画担当部長 岩田さんは2006年にパーソナルコミュニケーター“mylo”の商品企画に携わった方。
まだまだクラウドなんて言葉が一般化していない頃、Sony Tablet の基礎となるコンパクトで手軽な情報端末を生み出そうという土壌が既にソニー社内にはあって、それを真っ先に具現化した方というところでしょうか。

VAIO&Mobile事業本部のソフトウェア設計部統括部長 佐藤さんは2001年にはCLIEの、そして2004年にはPS3のアプリ開発に関わった方で、Sony Tablet の快適な操作性はこの方の経験とご苦労によるところが大きかったことは想像に難しくありません。

VAIO&Mobile事業本部で Sony Tablet Pの電気設計担当者として参加された水上さん。2009年に技術開発本部(スイングパノラマ/人感センサー/2D3D変換などの技術を製品段階に落とし込む部署)に所属し、その後「新しい製品に関わりたい」という希望が叶っていきなり Sony Tablet 部署に配属されたという・・・ソニーという会社はこうやって意欲的な人材をどんどん新しいプロジェクトに集めるという気風があるんですねぇ。

VAIO&Mobile事業本部から Sony Tablet S シリーズ設計マネージャーの鈴木さん。1996年には伝説のバイオノート505に電気設計者として参加し、その後SR/SRX/TR/typeT/Zシリーズとまさにモバイルノート機のことを知り尽くしている方…で、そんな華々しい表歴史の裏ではこれまた伝説のPalmTop(これ、僕も持ってました!!)にも携わっていたという…こういった経験こそが着実に今回の Sony Tablet に繋がっているのですね。

以上の方々が代表として色々語ってくれましたが、Sony Tablet の開発には様々な分野の人材が広く集められたということが各人の略歴を見てもよくわかります。

Slide13 Slide14 Slide15
さて、ひとくちに「快適なコンテンツ体験」と言っても、そのためのアプローチはひとつとは限りません。いやむしろコンテンツそれぞれ・人それぞれで快適性が違うからこそ重要でやっかいな問題かもしれません。
まずそのためにハードウェアに要求されたのが「持ち運ぶ機器としてのデザイン」と「サクサク・プロジェクト」と名付けられた軽快な操作性の実現なのだそう。
実際(写真撮影はNGでしたが)手帳型やら長財布型やら薄いのやら厚いのやら、検討されたモックの数はゆうに十を越え、その中から選りすぐられ商品化されたのが楔形のSと折畳み長方形のPだったと。
Sの楔形状は既に色々な媒体で語り尽くされている感がありますが、一見厚ぼったく見えてしまう危険を冒してまでハンドリング優先でデザインした結果があの、手の平に吸い付くような丸さと机においても安定して使える傾斜であることは、やはり実物を長時間使ってみてはじめて実感することが出来る部分でしょう。
「朝起きると手に取りたくなる、家の中で最適なデバイスとして開発した」とは岩田さん談。
また、実際家庭内で使われることの多いタブレットですから、放り投げられたり尻の下に敷かれたりしても平気なだけの強度があることなど、担当設計者の鈴木さん自ら実演していただきました。

Tabletp_100wire Tabletp_100wire3gwifi
同じことはPにも言えていて、確かに自分も現物を手に取るまでは「もっと薄く作れなかったのだろうか」とか「ちょっとヒンジが大きくて邪魔だな」とか、いかにも外野的意見を持っていました。
ですが説明用に用意されたスケルトンモデルを見て、反省w □\(--;)
あの大きなヒンジの中には左右50本ずつ100本ものケーブルが通っているというではありませんか!!(上写真で赤丸橙丸部分がコネクターで矢印がその経路)
効率優先の設計ならばバッテリーの入っていない上側基板に機能部品を集中させて基板数を極力少なくし、それぞれの接続は最小限の配線で済ますところを、Sony Tablet P では廃熱処理のためにあえてメインのTegra2チップが載った基板を分離し、バッテリー電源基板の裏に配置(上写真左の緑点線あたり)するという設計の凝りよう。そのため8層の積層基板をもってしても上下筐体を結ぶ配線が100本にもなり、さらに開閉試験をン万回繰り返しても壊れないだけの耐久性を得る為には一見武骨なあのヒンジが必要不可欠だったと…正直脱帽であります。
また断面の膨らみにも意味があって、中央の厚みがある部分にはこれまた発熱しやすい3G/WiFiの無線基板(写真青丸部分)が配置され、手に熱が伝わらず電波の透過性にも配慮した設計にしたとのこと…そういえばスマホで通信ガシガシ使うと、手が熱くなって不快ですし、iPhone4にもアンテナ問題なんてありましたものね。
おそらくそれ以外にも断面の楕円形状は応力を逃がすのにも有利な筈ですから、末長く使って欲しいという思いがこのあたりにも伝わってきて、薄ければイイといった昨今のモバイル機器の風潮に真っ向勝負を挑む、かなり質実剛健なモノづくり思想が垣間見える挑戦的デザインでもあります。
ちなみに、世間一般ではバファリンの半分が愛情で出来ていることが良く知られていますが、「Sony Tablet Pの隙間には愛情が詰まっている」とは水上さん談。

最適化されているのはソフトウェアも同様で、中でもマン・マシンインターフェイスが最重要視され、それ専門の「サクサク・プロジェクト」なるものがつくられたとか。
Sで10ポイント、Pで各画面5ポイントずつの計10ポイントの認識が可能なマルチタッチインターフェイスは、単純に多ポイントを認識するだけならもっといけるところを、色々な人が快適に確実に操作できるようマージンを充分確保した上で、使う人それぞれで違う静電感度やノイズ処理の試行錯誤に相当な時間を費やしたそうです。実際に社内で試作品を使用してもらい各人の使用感を数値で見える化…その試用者の中でもタッチパネルが反応しにくい4人に関しては徹底的に原因と対策を突き詰めていったと佐藤さん。
体験評価がベースにある商品開発というのは地道で時間とコストがかかりますが、類似製品が乱立するカテゴリーで息長く選ばれ続けるためには大切なことですよね。とかく「動けばそれで良し」とする製品が多い中、メーカーとしてのこの姿勢は今後も続けて頂きたいと、いちユーザーである自分は強く願うばかりです。

Slide16 Slide17 Slide18 Slide19
オンラインネットワークサービスに関しては Video Unlimited / PlayStation Store / Reader Store / ネットフォトフレーム by LifeX / PetaMapガイド&ナビ が用意されています。この中にMusic Unlimited が一日も早く加わりますように願ってやみません。

Slide20 特にPetaMapガイド&ナビの専用アプリは完全にPの2画面に最適化されたUIで、縦に使った時には左画面に地図・右画面にスポット情報とまさに旅行ガイドブック然とした大変斬新なアプリに仕上がっていて、Pの将来性を感じさせてくれました。
タブレット機器としては特異な2画面(というか分割1画面)を持つデバイスの成否は、このように特徴を活かしたアプリとサービスがどれだけ出てくるかに掛かっていると言っても過言ではありません。SDK(Software Development Kit)も提供されるそうなので、その辺も大いに期待です。

Slide21 最後のこのスライドが実に心強かったですねぇ。
ちなみに(対応次期は未定ながら)Android4.0 Ice Cream Sandwitch へのアップデートも表明していただきましたので、まだ始まったばかりの Sony Tablet の歩みを、暖かく見守って行きたいと強く感じさせてくれる今回のイベントでありました。



・・・あれ、これでイベントレポートはお終い? 製品写真少なくね? と思われたあなた、鋭いです。
ご心配には及びません。次回ちゃんと製品写真多数のエントリーをアップ予定です。

14062-3304-252595

…ということですが、貸与されるまでもなく
自腹で Sony Tablet P お買い上げいたしましたので(爆)

じっくり使い込んでから順次レポートいたしますです、はい。

14062-3304-252595

|

« SとP(クラウドの)野望編 | トップページ | 人の造りしもの : P »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/188876/53101891

この記事へのトラックバック一覧です: SのP(タブレットの)革命前日編:

« SとP(クラウドの)野望編 | トップページ | 人の造りしもの : P »